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効率的な戦力の使い方

戦力を交渉カードとして使うのが、最も効率的な戦力の使い方だろう。

コリン・パウエルの「リーダーを目指す人の心得」という本を読んで思った。
291ページから始まる、ハイチでクーデターを起こしたセドラ将軍を追い出した際のエピソードが興味深い。ハイチは大阪なおみ選手のお父さんの出身地ですね。

リーダーを目指す人の心得 文庫版








そもそもハイチで何が起きたのか?Wikiを参考にざっと書くと、
ハイチはもともと政情が不安定な国だったが、1987年に新しい憲法が制定された。これに基づき、民主的な選挙が行われ、1991年2月にジャン=ベルトラン・アリスティドが大統領に就任した。しかし、就任して数か月後の1991年9月、ラウル・セドラ将軍がクーデターを起こし、アリスティドは国外に亡命した。民主的な選挙で選ばれた大統領をクーデターで追い出すなどアメリカ側が許すはずもなく、当時のクリントン大統領は軍事介入(アップホールド・デモクラシー作戦)を決定した。作戦の開始予定は1994年9月19日だったが、直前になってカーター元大統領やパウエル元統合参謀本部議長を特使として派遣し、最後の交渉を行った。交渉は難航したが、最終的に説得に成功し、セドラ将軍が退陣することで決着した。

この最後の説得の記述がとても興味深かった。以下この本からの引用。
「事態が決着したのは、退陣しなければなにが起きるのかを、(省略)説明した時だった。派兵規模と戦術を説明したあと、"明日には部隊が到着する"と告げたのだ。(省略)降りる潮時だとセドラも暫定政府もわかってくれたらしい。」(292ページ)

一言でいうと「脅し」である。そして、戦力を「脅し」として使うのが、最も効率的な戦力の使い方だと思った。戦争はお金がかかるし、お互いに犠牲者を出さないようにするのはほぼ不可能。
しかもどのような結果になるか、不確実性が高い。感情的になった第3国が突然参戦すると言い出すかもしれないし、見方が怖気づいて期待していた支援を得られなるかもしれない。下手に政府を破壊してしまうと、戦後にその国を再建する責任が降ってくる(この本の295ページの「壊した人が持ち主になる」も面白い)。

それよりも戦力を脅しとして使えば、戦争に伴って発生する厄介を避けることができる。実際に戦争するのではなく、「脅し」として使うのが一番効率的だと思った。武力に裏付けされた脅しも外交上の交渉カードの1つである。

「脅迫だ!ひどい!」という人もいるが、何をやってもいいのが外交だろう。戦争だって外交手段の一つだ(もちろん、国連とか国際世論の空気には十分注意を払う必要があるが)。日本の報道だと「外交の裏側」的に扱われそうだが、外交に裏も表もない。外交は(空気を読みつつも)持てるカードはすべて使うものだ、とこの本を読んで感じた。

なお、サダム・フセインのように玉砕を選ぶ相手もいるので、その場合は戦争になってしまう。


リーダーを目指す人の心得 文庫版



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